脱水できない洗濯機の原因は?自分でできる対処法と修理の目安をプロが解説

洗濯が終わったと思ってフタを開けたら、衣類がびしょびしょのまま…。
忙しい日に限ってエラー表示が出ると、家事の段取りも崩れてしまいます。
洗濯時に脱水できない原因は、洗濯物の偏りや排水の詰まりなど自宅で改善できるものから、センサーや基板の不調のように点検が必要なものまでさまざまです。
ここでは、洗濯機の脱水不良の症状・原因・対処法を順番に解説します。

目次

この記事は月間1100台以上の洗濯機をクリーニングしている「洗濯機のまじん」スタッフが監修しています。

洗濯機を清潔に保ち、日々の洗濯を快適にする手助けになれば幸いです。

脱水できない洗濯機に起こりやすい主な症状とは?

洗濯時の脱水不良には、症状のパターンがいくつかあります。脱水が止まる、脱水が始まらない、エラーで停止するなど、症状を先に知っておくと原因の見当がつきやすくなり、対処もしやすくなります。
ここでは、洗濯中脱水できないときに出やすい症状を紹介します。

脱水が途中で止まる・何度もやり直す

脱水の途中で止まり、再開と停止を繰り返す場合は、洗濯物の偏りや排水の流れの悪さが原因かもしれません。
洗濯機は強い揺れや異常を検知すると安全のために回転を止め、バランス調整の動きを挟みます。結果として、運転時間が延びているのに衣類の水分が残り、音や振動が目立つ場面も増えます。

脱水が全く始まらない

洗いとすすぎは進むのに脱水だけ始まらない場合、洗濯機が脱水開始を止める条件に当てはまっているかもしれません。
排水口や排水ホースの詰まり、水位の検知異常、フタやドアロックの判定、過度な偏りの検知などが代表例です。電源を入れ直しても変化がない場合は、センサーや基板の不調の可能性もあります。

エラーが出て動作が止まる

脱水のタイミングでエラー表示が出る場合は、洗濯機が異常を検知しています。
エラーコードには「排水」「ロック」「回転」「水位」などの意味がそれぞれ割り当てられているため、取扱説明書の該当ページを確認するとよいでしょう。メーカー窓口で修理依頼をする際の説明がスムーズにできるため、エラー番号はメモしておくとよいでしょう。

脱水できない洗濯機の原因は?考えられる理由をプロが解説

洗濯中の脱水不良は偏り、詰まり、センサーの判定、機械部品の劣化のどこで止まっているかで原因が分かれます。自宅で改善しやすいよう、洗濯物の入れ方、排水経路、フィルター状態、センサーや基板の不調を順番に見ていきましょう。
ここでは、脱水できない主な原因を解説します。

洗濯物の偏り

脱水不良で多い原因は洗濯物の偏りです。
洗濯槽の片側にタオルやジーンズが固まると遠心力のバランスが崩れ、洗濯機が揺れを検知して脱水を止めます。
毛布やバスタオルなど水を含みやすい大物を少量だけ洗う場面は偏りやすく、エラーやガタつきにつながりやすいです。

排水口・排水ホースの詰まり

排水口や排水ホースに汚れがたまると排水が遅れ、水が残って脱水に進めません。
髪の毛、糸くず、洗剤カス、ぬめり汚れが少しずつ蓄積し、急にエラーが増える場合もあります。
排水時の音や逆流、ニオイの有無をチェックしてみましょう。

排水詰まりのサイン(目安)

症状疑われる場所
排水時にゴボゴボ音が続く排水ホース内部
水が逆流しやすい床の排水口
排水口付近のニオイが強い排水トラップ周辺

糸くずフィルターの詰まり

糸くずフィルターにゴミがたまると水の流れが弱まり、排水不良から脱水エラーにつながります。
糸くずフィルターにたまるゴミが少量に見えても、洗剤カスやぬめり汚れが網目に貼り付き、排水を邪魔する場合もあります。フィルター掃除は負担が小さいわりに効果が出やすく、まず着手したい対策です。破れや変形がある場合は、部品交換を検討しましょう。

水位センサーの誤作動

洗濯機は水位センサーで排水完了を判断します。
水が抜けているのに「水が残っている」と判定すると、脱水を開始しなかったり、エラー表示で停止したりします。ホコリや洗剤カスの付着、洗濯槽内部の劣化が影響する場合があり、外から見て判断しにくいのが難点です。掃除や偏り調整で改善しない場合は、業者への点検や相談も視野に入れましょう。

基板・モーターなど機械トラブル

基板やモーターの不調は、脱水不良の中でもとくに注意したい原因です。
回転が止まる、電源が落ちる、エラーが頻発するなどの症状が出やすく、洗濯機の電源を再起動しても改善しない場合が多いです。
洗濯機の分解作業は感電や故障拡大につながるため、自己分解は避け、メーカーや専門業者へ相談しましょう。

自分でできる!脱水できない時の対処法

脱水不良は、洗濯物の偏りと排水経路の詰まりを改善して直る場合が多くあります。
安全のため、作業前に電源を切り、必要に応じてコンセントを抜いてから進めましょう。
負担が小さい作業から始め、改善するかどうかを確認しながら進めてみましょう。
ここでは、自宅で試せる対処法を紹介します。

洗濯物の偏りを直す

まず試したい対処方法は、洗濯物の偏りの調整です。偏りの調整だけで脱水が正常に戻る場面は多くあります。
洗濯機を停止し、衣類を一度取り出してから、重さが片寄らないように入れ直します。
大きなものは丸めず広げ気味に入れると、回転バランスが整いやすくなります。
入れ過ぎも偏りを招くため、容量を見直すのもよいでしょう。

洗濯物の偏り調整コツ

  • 重い衣類(ジーンズ・厚手タオル)と軽い衣類を散らして入れる
  • 毛布やバスタオルは均等に広げて入れる
  • 容量の7〜8割を目安に量を調整する

排水口・排水ホースを掃除する

洗濯物の偏りを整えても改善しない場合は、排水経路の詰まりを疑ってみてください。
電源を切り、できれば残水を抜いてから、排水ホースの折れやつぶれを確認します。
床の排水口カバー周辺は髪の毛や糸くずがたまりやすく、ニオイやぬめりも出やすい場所です。
掃除後は「脱水のみ」で試運転し、排水の流れとエラー表示の有無を確認すると、排水経路が原因だったかどうか判断しやすくなります。

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糸くずフィルターを徹底的に掃除する

糸くずフィルターはゴミがたまりやすく、脱水エラーにつながりやすい箇所です。
フィルターを外して糸くずや髪の毛を取り除き、ぬるま湯と中性洗剤で網目の汚れを落とします。
網目に洗剤カスが貼り付いている場合は、ブラシで優しく洗ってぬめりを落としましょう。掃除後はフィルターを正しく戻し、脱水をおこないながら様子をみてください。

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電源リセット・再起動で改善する場合も

一時的な制御の乱れで脱水に進めない場合は、電源リセットで改善する場合があります。
電源プラグを抜き、5〜10分ほど置いてから差し込み直し、脱水のみで試運転します。リセット後も同じエラー表示が続く場合は、内部部品の不調が進んでいる可能性があります。
無理に運転を繰り返すと悪化につながるため、早めに業者への相談へ切り替えるのがおすすめです。

脱水できない症状が続く時に疑うべきトラブル

洗濯機の掃除や、洗濯物の偏りを調整しても脱水できない症状が続く場合は、洗濯機内部の部品劣化や故障が疑われます。
水位センサー、基板、モーターは自宅での判断が難しく、分解は危険を伴います。症状の出方と使用年数を合わせて考えて、必要に応じで修理や相談も検討しましょう。
ここでは、脱水できない症状が続く場合に疑うべきトラブルを解説します。

水位センサーの不良

水位センサーが弱ると、排水完了の判定がずれ、脱水開始を止める場合があります。
すすぎまでは進むのに脱水で止まる、排水エラーが出やすい、同じ表示が続くなどが出やすいです。
センサーまわりの詰まりが影響する場合もありますが、業者の点検や部品交換が必要になるケースもあります。
もし洗濯機掃除をしても変化がない場合は、業者への点検や相談を検討しましょう。

基板・モーターの故障

脱水中に停止する、焦げたようなニオイがする、強い異音が続く場合は、モーターや基板の不調が疑われます。
基板が弱ると回転制御が乱れ、エラー表示や電源落ちが増えやすくなります。
通電に関する部品の扱いは危険があるため、自己分解は避け、メーカーや修理業者へ相談するのが安全です。再起動で改善しない場合は早めの相談がおすすめです。

10年以上使用している洗濯機のリスク

洗濯機は7〜10年前後で部品の劣化が進みやすく、10年を超えると不調が重なりやすくなります。
脱水不良に加えて排水不良や異音が出ると、修理しても別部位があらたに不調になる場合があります。
修理見積もりが高額になった場合は、省エネ性能や水道光熱費も含めて買い替えも検討するとよいでしょう。

洗濯機内部の汚れが原因で脱水できない場合も

洗濯中の脱水不良は故障だけでなく、洗濯槽の裏側や排水経路にたまった汚れが影響する場合があります。
洗剤カスや黒カビが増えると、汚れが剥がれて詰まりにつながり、センサー判定にも悪影響が出やすくなります。ニオイや黒いカスが増えた場合は、内部汚れの進行をまず疑ってみましょう。
ここでは、洗濯槽汚れと脱水不良の関係を紹介します。

洗濯槽の裏側に汚れがたまると脱水エラーにつながる

洗濯槽の裏側は湿気が残りやすく、洗剤カスや皮脂汚れが付着しやすい環境です。
汚れが剥がれて排水経路へ流れ込むと、排水が遅れ、脱水に進めなくなる可能性があります。
洗濯物に黒いカスが付く、洗濯機のニオイが強くなるなどが出た場合は、内部汚れが進行しているかもしれません。
槽洗浄を積極的に取り入れてみると改善する場面もあります。

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洗濯槽クリーニングで改善しやすい症状

洗濯槽の汚れを減らすと、ニオイの軽減に加えて、排水不良が改善する場合があります。排水がスムーズになれば、センサー判定が安定し、脱水エラーが出にくくなる可能性も考えられます。
一方で、部品の故障が原因の場合は改善しにくいです。洗濯槽クリーニングを実施しても脱水エラーが続く場合は業者へ相談するとよいでしょう。

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自宅でできる洗濯槽洗浄(酸素系クリーナー)

酸素系クリーナーは発泡で汚れを浮かせやすく、家庭でも扱いやすい洗浄方法です。
40℃前後のぬるま湯を高水位まで溜め、規定量のクリーナーを溶かして数時間つけ置きすると、汚れが剥がれやすくなります。浮いた汚れはネットですくい、最後は標準運転でしっかり排出します。
月1回ペースを目安にすると、汚れの蓄積を抑えやすいです。

【酸素系クリーナー】洗濯槽掃除のやり方

  1. 空の洗濯槽に40〜50℃のぬるま湯をためる
  2. クリーナーを入れて5分ほど撹拌する
  3. 2〜6時間つけ置きする
  4. 浮いた汚れをネットなどで取り除く
  5. 排水してすすぎを1〜2回する
  6. フィルターを掃除し、槽内をしっかり乾かす

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塩素系クリーナーは除菌力が高く、カビ臭が強い場合に向きます。ニオイが強いため、換気を十分におこない、ゴム手袋の着用もおすすめします。表示どおりの量で運転し、終了後はすすぎを追加すると塩素臭が残りにくくなります。塩素系クリーナーは、酸性洗剤や酸素系クリーナー、クエン酸などと混ざると危険なガスが出る心配があるため、単独で使いましょう。

【塩素系クリーナー】洗濯槽掃除のやり方

  1. 洗濯槽クリーナーの中身をすべて入れる
  2. 標準コースで運転する
  3. .脱水後に、まだ洗濯槽の内側に汚れがある場合は「すすぎ→脱水」をもう一度

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プロの洗濯機クリーニング会社へ依頼したらどうなる?

自宅で洗濯機周辺の掃除や槽洗浄をしても改善しない場合は、プロの洗濯機分解クリーニングを受けるのもおすすめです。
プロの技術で洗濯機を分解して内部を洗浄すると、洗濯槽の裏側や排水経路の固着汚れまで落としやすくなり、詰まりやニオイの原因を減らせます。買い替え前に洗濯機の状態を確認したい人にもおすすめです。
ここでは、プロの洗濯機クリーニングを依頼したら得られる変化を紹介します。

分解クリーニングで詰まり・汚れを根本から除去

洗濯機の分解クリーニングは、洗濯槽や周辺パーツを外して洗浄するため、市販のクリーナーでは届きにくい部位まで汚れを徹底的に落とせます。
排水経路のぬめりや洗剤カスが減ると、水の流れが整い、脱水の失敗を減らせる期待もできます。
ニオイや黒いカスに悩む家庭ほど変化を感じやすいです。

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脱水エラーが改善する理由

脱水エラーは、排水の流れとセンサー周辺の環境が整うと改善しやすいです。
汚れや詰まりで排水が遅れる状態が改善すると、洗濯機が脱水開始の条件を満たしやすくなります。回転バランスの乱れが汚れ由来で起きていた場合は、異音や振動の軽減につながる場合もあります。

分解して洗浄できる部位と期待できる変化

主な清掃箇所期待できる改善
洗濯槽・外槽異音や振動の軽減、回転バランスの安定
排水ホース・排水口まわり排水不良の改善、脱水失敗の減少
フィルター周辺・付着汚れエラー頻発の軽減、ニオイの減少

修理が必要かどうかもプロが判断できる

分解の過程で、汚れ以外の原因が見つかる場合もあります。
配線の傷み、部品の破損、センサーの異常などが確認できると、修理へ進む判断がしやすくなります。
汚れが主な原因なら洗濯機クリーニングで改善できますし、故障が主因なら修理見積もりと買い替えのアドバイスがもらえるでしょう。脱水エラーが続く場合ほど、洗濯機の分解経験の多い専門の目で状態を確認してもらえると安心です。

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まとめ

脱水できないトラブルは「途中で止まる」「脱水が始まらない」「エラーで停止する」など症状の出方で原因の見当がつきやすくなります。
まずは洗濯物の偏りを直し、排水口・排水ホース・糸くずフィルターの詰まりを確認しましょう。次に、電源リセットで一時的な誤作動が落ち着く場合もあります。
それでも改善しない、焦げ臭さや強い異音がある、同じエラーが繰り返される、使用年数が10年を超える場合は、基板やモーターなどの不調も考えられるため、メーカーに相談も検討しましょう。
槽裏の汚れが影響する例もあるため、槽洗浄やクリーニングで改善する余地も確認し、必要に応じてプロの洗濯機クリーニングも利用してみましょう。

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